第143章 キスできるのは俺一人だけだ

その言葉が出た瞬間、周囲はどよめいた。

「えっ、なにそれ……あり得なくない?」

「橘結衣に彼氏?」

誰も知らない。――いや、知らないはずがない。

ギャラリーだけじゃない。いつも結衣と一緒にいる田中未菜も、南川萌々香も、聞いたことがなかった。

未菜が萌々香の腕をつつく。

「結衣って、いつ彼氏できたの?」

萌々香は首を横に振り、目を泳がせた。

「知らないよ……」

未菜の目がぱっと輝く。

「絶対、あのプレイボーイを断るための口実だって!」

萌々香もこくこく頷いた。

だって、朝から晩まで一緒にいるのに、結衣のそばに男の影なんて一度も見たことがない。

「橘結衣。俺を騙してるん...

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